看護部長からのごあいさつ
看護部長 辻 千芽
令和6年度、複雑な心境を抱きながら新年度を迎えることとなりました。この度の令和6年能登半島地震に際し、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。 甚大な災害が繰り返されている近年において、人々の命、健康、生活をまもるために看護の果たす役割は大変重要であると考えます。今後も、北陸の中核を担う大学病院として、地域に開かれたバリアフリーホスピタルの実現と、チーム医療を基盤にしたホスピタリティあふれる看護の実現を目指していきます。
先人から受け継がれている「思いやりのこころに根ざした温かみのある看護」の実践に向け、相手の方が大切にしていることを尊重し、必要なときに必要とされる最善のケアを日々探求しています。この度の震災では能登北部の被災された患者さんを多く受け入れました。その際に大きな衝撃を体験した方々は、言葉が出ない程の絶望感で感情を表出できずにいることを知りました。「つらい気持ちを我慢しているお子さんのそばにいるようにしたら、元気な声が出せるようになった」「冷えて強張っている手を温かいタオルで拭きマッサージしたら、だんだんと話をしてくれるようになった」など患者さんの閉ざされた心を解かし、安堵の表情へと変えた看護師たちのエピソードを耳にしました。その場にいた看護師も「嬉しくて自分が救われた」と語り、人が支え合い、そばにいる安心が生きる力となることを実感いたしました。どのような状況にあっても思いやりのある看護を大切にしていきたいと心から思います。
第2中央診療棟の本格的な稼働が開始し、看護も転換期を迎えたと思っております。化学療法のような高度な治療や入院が必要な先進医療を受ける準備は外来で行われ、入院前後をつなげる外来看護に比重が置かれるようになってきています。外来を統括する患者サポートセンターを備え、入院から退院、次の療養場所に至る支援を行う専任看護師の配置、安全に円滑に治療を遂行するための知識やスキルを備えた看護師の養成など、その方らしい生活が送れるよう安心のケアを引き継ぐ体制へと整えてまいります。
今後も皆様の力となり、健康と幸福につながるご支援ができますよう看護師一同力を合わせて取り組んでまいりたいと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。