看護部の取り組み
入院前から退院後まで優しく丁寧な看護実践
高度急性期医療を受ける方のQOLにかなった暮らしを尊重し、その方のWell Beingを支援します
入院前
その方にとっての健康を理解する (納得し安心して治療に臨めるよう、しっかりと準備する)
【 がん療養相談(がん看護外来) 】
がんと診断された時からがん患者さんとその家族が安心・納得して治療を受け療養できるよう支援しています。がん領域の認定看護師やがん看護専門看護師が患者さんとその家族と対話し「がんの不安や疑問」「療養生活の不安」「困っていること」「セルフケア」「治療と仕事の両立」などについて丁寧に聴き、その方に合った向き合い方を一緒に考えます。
【 助産師外来 】
経過が順調な妊婦さんを対象に、助産師が妊婦健康診査を行っています。母体・胎児双方の健康状態についてゆっくりと話を聞きながら超音波検査で胎児の様子を観察します。妊婦さんとご家族の方が満足できる出産をし、母乳育児をスタートできるよう、出産前から産後まで継続的にサポートします。
【 意思決定支援 】
患者さん・ご家族の揺れ動く気持ちを受け止め、自身で治療方針や生活のしかたを選べるように支援しています。
【 入院前面談 】
その方が大切にしていることや日常生活で心がけていること、生活習慣などについて入院前に把握し、自宅での生活により近い環境で過ごせるよう整えています。
【 遺伝診療外来 】
遺伝診療外来で専門的知識を持った看護師が医師と協働し、遺伝に関わる悩みや不安を聞き、患者さん・ご家族の安心につながるよう支援しています。
【 入院前カンファレンス 】
入院前面談で把握した情報が引き継がれ、入院した時からケアが開始できるよう外来・病棟間で共有しています。
【 入院前準備教室 】
入院が決まった患者さんが心身ともに整った状態で、安心して入院生活を送ることができるよう、入院前から患者さんと共に準備を進めています。入院前の適切なタイミングで感染予防、転倒予防、せん妄予防など退院後を見据えた看護を提供しています。
入院の際にせん妄予防のための時計やカレンダー、心が和む写真、趣味の本などを持参されたり、禁酒・禁煙が早い段階で行うことができ、治療に向けて身体と心の準備が整えられています。
入院中
安全に安心して療養できるケアを実践する(治療を受ける過程において、経験する経過をイメージできる)
【 手術前・後訪問 】
手術室看護師が、術前から担当した患者さんの手術に対する思いをゆっくり聞き、手術を乗り越えた安堵感が得られ回復意欲につながるよう支援しています。術後経過を病棟看護師と共有し、患者さんにとって最適な看護を検討しています。
【 臨床倫理コンサルティングチーム(CECT)の活動 】
医療者が日常診療において「なんとなくもやもやする」など感じたときに相談できる場として活動しています。医師・看護師・薬剤師・MSW・事務のチームで倫理的ジレンマを共有し、意見交換を行い「対話」を通じて 現場の医療チームを支援します。また悪い知らせの伝え方、大切なことの決め方を「緊急ACP(バイタルトーク)」として学習できるよう、研修を始めています。
【 日常を整え、健康な状態を維持・増進するケアの実践 】
患者さんの治療経過回復過程に応じて、健康に過ごせるよう「何を・いつ・どのように」を共に考え、患者さんの「できる」を支えるケアを実践しています。患者さんに触れ、視線を合わせて対話することを大切にしています。
【 チーム活動 】
多職種がそれぞれの専門性を発揮して、最善の医療提供のために協働しています。
【金沢大学附属病院の医療チーム】
・褥瘡対策チーム
・栄養サポートチーム(NST)
・感染対策チーム
・抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
・緩和ケアチーム
・精神科リエゾンチーム
・治験コーディネーター(CRC)
・臨床倫理コンサルティングチーム(CECT)
・糖尿病透析予防チーム
・災害時派遣医療チーム(DMAT)
・急変対応チーム(RRT)
・排尿ケアチーム
・転倒・転落防止対策チーム
・術後疼痛管理チーム
退院に向けて
知気での暮らしを護り支える(治療後の常態に適応し、健康に生活していくために心身を整える)
【 退院前カンファレンス 】
病状が落ち着いた段階で、退院後の療養や生活面の課題等について関係する多職種間で情報共有し、支援内容や方法を検討しています。患者さんやご家族の希望を確認し、安心して退院後の地域での暮らしへ移行できるよう準備を進めます。
【 入退院支援 】
入院前・入院早期から患者さんやそのご家族が退院後の“暮らし”を自分で選択することができるよう、看護の専門性を持って患者さんやご家族の思いを最大限に引き出しながら必要な情報を提供し、安心で安全な療養が継続できるよう調整しています。
【 在宅療養移行支援 】
患者さん・ご家族が退院後の生活を具体にイメージでき、安心して自宅での生活に踏み出せるよう支援しています。入退院支援看護師が中心となって院内の多職種、訪問看護師、ケアマネージャー、MSW等と退院前カンファレンスを行い、その方のライフステージに応じた在宅療養生活の継続を支えます。
【 アピアランスケア(がん患者さんの外見のケア)教室 】
がん治療によって外見の変化が生じ仕事に行けない、今までのように楽しめないと感じている方に脱毛、皮膚や爪の変化などの情報提供とケア体験を通して、笑顔であなたらしく社会生活が送れるように活動しています。現在は集団での開催は控え個別相談を実施しています。男性の方の相談も増えています。
【 NPO法人「がんとむき合う会」での相談支援 】
「がんとむき合う会」はがんを抱えた方や家族・友人が同じ環境や専門職につながれる場、たとえひとりでも気にかける誰かがつないでくれる場です。認定看護師や専門看護師が白衣を脱いで地域へ出向き、がん患者さんとその家族の相談支援を行っています。コロナ禍以降はオンラインでつなぐ交流会で患者さん・ご家族の話を聴いたり質問に答えたりしています。