部門紹介~血管造影~
血管造影検査とは
血管造影検査とは、カテーテルと呼ばれる細い管を動脈あるいは静脈に挿入し、造影剤というお薬をカテーテルから動脈や静脈に注入しながら連続的にエックス線画像を撮影する検査です。
このエックス線画像で血管の状態や血液の流れる様子を観察することによって、血管病変やがんなどの臓器疾患の診断をします。
病院スタッフが”アンギオ”(Angio・日本語訳:血管)や”カテ”という言葉を使っているときは、多くの場合血管造影検査のことを指します。
使われるX線造影剤は、エックス線CT検査で使われる造影剤と同じものです。
検査のながれ
患者様が外来からお一人で血管造影室においでになることはありません。
入院されてからの検査・治療なので、必ず病棟からの出棟となります。
検査用のベッドに横になっていただきます。次に心電図の電極等を付けます。
カテーテルを挿入する場所を消毒し、清潔なデッキ(覆い)をかけます。
穿刺する場所に麻酔の注射をします。痛みを伴うのはこの麻酔時だけです。あとは、先生が触っていることしかわかりません。
カテーテルを目的血管まで進め、造影剤を流しながら血管のX線撮影をします。
いろいろな方向・タイミング等で何回か撮影します。
必要な情報が得られるX線撮影が撮れたと判断されれば、検査終了です。
カテーテルを挿入した場所を押さえて止血します。穿刺部位によっては、10~20分押さえます。
検査内容・穿刺部位によりますが、3~5時間程度は安静が必要です。
血管造影検査を受ける方へ
前にも書いてありますが、血管造影室では、ほとんどの場合X線造影剤を使います。このX線造影剤はCT検査で使うX線造影剤と同じものです。
これまで、CT検査でX線造影剤を使って身体に異常(吐き気・かゆみ等)があった方は、事前にスタッフに申し出てください。
また、検査後の安静時間が数時間と長い場合もあります。安静を保つことに不安がある方は、事前にスタッフに相談してください。
IVR
IVR(アイ・ブイ・アール)やインターベンションという言葉をスタッフが使っているのを耳にすることがあると思います。
IVRはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略で、画像下治療という和名があり、X線透視やCTなどの画像でからだの中を見ながらカテーテルや針を使って行う治療です。
ほとんどの血管系のIVRと非血管系IVRの一部が血管造影室で行われています。
血管造影室では、心臓血管、頭頚部血管(脳血管)、胸部血管、腹部血管、上肢下肢血管領域のIVRを数多く行っています。
IVRの例
腎がんに対する凍結治療
細胞は凍結~解凍を続けて2回行うと壊れて死んでしまいます。この作用を利用してがんを治療するのが凍結治療です。
内部にガスを通すことができる特殊な針を腫瘍に刺して、凍結と解凍のガスを通します。これを2回繰り返すだけなので、針を刺してしまえば、1箇所の治療は1時間もかからない。また、低温にするため痛みがないのも大きな特徴です。
現在(2018年)は腎がんだけが保険適応ですが、今後腎がん以外の治療にも使えるようになるかもしれません。
大動脈ステントグラフト治療
大動脈にステントグラフト(ビニール状に膜が巻かれた、弾力のある網状の筒)を留置して、大動脈の膨らみが破裂するのを防ぐ大動脈血管の治療です。
年間100例近くの症例数があります。
脳血管内手術
頭を開かずに、脳の血管にできた瘤(脳動脈瘤)にプラチナ製のコイルを詰めて、脳動脈瘤が破裂するのを防ぐ治療です。
近年風船の付いたカテーテルやステント(弾力のある網状の筒)などを併用することによって、いろいろな形や大きさの動脈瘤の治療ができるようになりました。
径カテーテル大動脈弁留置術
タビ(TAVI)もしくはターバー(TAVR)といいます。
TAVIとはtranscatheter aortic valveimplantation の頭文字、TAVRはtranscatheter aortic valve replacementの頭文字で、全く同じ手技のことです。
胸を開かず、心臓が動いている状態で、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置する治療法です。
重症の大動脈の弁が狭くなっている病気の患者さんで、高齢などの理由で手術をあきらめていた方に対する新しい治療の選択肢です。