放射線治療

部門紹介~放射線治療~

放射線治療とは?

放射線治療は、手術・抗がん剤治療とともに、がんや良性腫瘍に対する有効な治療法の1つです。体の外から放射線を当てる「外部照射」と、体の内側から放射線を当てる「内部照射」に分けられます。


目的・方針は大きく分けて①完治させる(根治照射)、②がんの再発を防ぐ(予防照射)、③がんによる苦痛を抑える(緩和照射)、④がんの進行を遅らせ延命を図る(対症照射)などがあります。

放射線治療とは

放射線治療に関わるスタッフ

放射線治療には、放射線治療科医師・診療放射線技師・放射線治療品質管理士※1・医学物理士※2・放射線治療担当看護師・その他(事務、栄養士、etc.)など専門知識を有する様々なスタッフが関わっています。


※1放射線治療品質管理機構で決められた名称です。

※2日本医学放射線学会で決められた名称です。

放射線治療に関わるスタッフ

資格取得者数

放射線治療科医師 5名
(放射線治療専門医) 3名
診療放射線技師 6名
(放射線治療専門放射線技師) 4名
(放射線治療品質管理士) 3名
(医学物理士) 2名
放射線治療担当看護師 2名

放射線治療の流れ

放射線治療の流れ

①診察(治療法の選択・説明と同意)

放射線治療担当医師による診察を行います。種々の検査結果や患者様の容態から治療の適応と方針(照射部位、照射方法、1回の放射線量、総回数や照射スケジュール)を決定し、治療開始前に行う準備(治療計画)や治療中の注意事項、考えられる副作用について説明します。また、治療が最後まで遂行できるように看護師による食事・副作用に対するケア方法などの指導があります。

診察

②治療体位の決定・固定具の作成

身体の動きやすいところ(主に、頭や顔面・首)に放射線を照射する場合は、必要に応じて固定具(シェル)を作成します。体位を安静に保持でき、治療を円滑に実施できるような枕や腕台・脚台を患者様に合わせて選択します。放射線治療は、この時に決めた体位を毎日繰り返しますので、つらいことがありましたら我慢せずに申し出てください。

治療体位の決定・固定具の作成

③治療計画用CTの撮影

治療時の体位、固定具を使用した状態で線量計算のためのCTを撮影します。この際、治療時の位置合わせの為に、体の表面の形状をコンピュータでスキャン(光学式ポジショニングシステム)しますので、衣服は治療範囲にあわせて脱いでいただく必要がありますが、皮膚に印を書かないで治療ができます。また、治療部位によっては、歯冠の除去や食事制限、排尿・畜尿などの前処置を行っていただく場合があります。

治療計画用CTの撮影

④治療計画・治療の確認(品質保証・管理)

撮影したCT画像を使用して治療計画装置で最適な治療範囲を決定します。また、病巣周囲の正常組織の放射線量をできるだけ減らすため、患者様ごとに照射方向や放射線治療範囲の“かたち”である照射野など工夫をし、治療計画を立案します。


立案された計画は放射線量や範囲が正しいか、医師、技師(物理士、品質管理士)が事前に確認します。

治療計画・治療の確認(品質保証・管理)

⑤毎日の治療

※ここからが実際の放射線治療です。


計画用CTを撮影した時と同じ体位となり、身体の印を基準にして位置合わせを行います。体内臓器の位置確認や位置補正のために、治療装置の付属機器を使用してX線写真や簡易的なCTを撮影します。初回は位置確認などで15~20分程度時間がかかります。2回目以降は10分程度で終わりとなります。


放射線による痛みや熱感はありませんので、力を抜いて動かないようにしてください。


放射線照射中は部屋で一人になりますが、外から体表面のスキャン画像やカメラ、マイクによる看視をしていますので、緊急時は声を出したり手を振って知らせてください。

毎日の治療

治療の副作用とケア

放射線治療中に出現する副作用の多くは一時的な炎症であり、治療開始から2週目以降に出現することが多いです。また、治療終了後1~2ヶ月ほどで収まります。

皮膚炎

照射を受けている部位の皮膚には、治療にともなって皮膚が赤くなったり、乾燥したり、熱感、かゆみが起こる場合がありま


直射日光に当てない、化粧品は塗らない、テープを貼らない、柔らかい衣服を着用する、ゴシゴシこすらないなど刺激を避けるような工夫が必要です。炎症がひどい場合には、ステロイド含有軟膏などが処方される場合もあります。

皮膚炎

脱毛:頭部

放射線照射により、毛母細胞がダメージを受けて脱毛が起こりますが、脱毛が起こるのは放射線が照射された範囲のみです


髪の毛をあらかじめ短くしておくことで脱毛が起こった際に対応しやすいです。また、直射日光に当てない、爪を立ててシャンプーをしないなど、頭皮への刺激を減らすよう心がけてください。

粘膜炎:口~食道

のど(咽頭・喉頭)や食道が治療範囲の場合、食事の際、つかえ感や痛みが出現する場合があります。


禁酒・禁煙し、よく噛み、一度にたくさん飲み込まず、少量ずつ飲み込みます。酸味や塩味、辛味の強いものや熱すぎる・冷たすぎるものなど刺激を避けるような工夫が必要です。食事を摂ることができない場合は、経腸栄養剤や点滴で栄養を補う場合もあります。また、痛みが出現したら、粘膜保護剤や鎮痛剤を使用します。

口~食道

粘膜炎:腹部~骨盤部

腹部や骨盤内で腸が治療範囲に含まれる場合、下痢を起こすことがあります。また、排便・排尿時痛が出現する場合もあります。


下痢をしている場合は低脂肪で繊維質の少ない、消化の良い食事を選択し、水分摂取を心がけてください。症状がひどい際にはお薬を処方する場合もあります。

当院の治療装置の紹介と最新技術

当院には外部照射装置2台と内部照射(密封小線源治療)装置1台が設置されています。また、下表で示すように治療計画装置や正確で高精度な放射線治療に必要な周辺装置も複数台所有しています。


外部照射では、強度変調放射線治療(IMRT)や強度変調回転放射線治療(VMAT)、定位放射線照射(SRT, SRS)などの高精度照射法も実施しています。照射部位・方法によっては、位置誤差をできるだけ少なくし、正確に治療するためにX線写真や簡易的なCTを用いた画像誘導放射線治療(IGRT)も実施しています。


また、平成30年4月より導入した「光学式体表面スキャニングシステム」により、乳房照射において正確な位置合わせが可能となりました。さらに令和元年より、全国的にも例がない皮膚へのマーキングを行わない放射線治療を行っておりますので、治療期間中の患者様への入浴や外観、衣服に関するストレスフリーな放射線治療を提供しています。

当院の治療装置の紹介と最新技術

光学式体表面スキャニング装置 (Catalyst)


① 位置誤差を体表にカラーマップ投影することで、被ばくなしで正確なポジショニング支援が可能。(は基準に比べ高い位置、は基準に比べ低い位置。)


② 治療中の体動や位置ずれをリアルタイムでモニタリングでき、位置誤差を検出するとビームの自動停止が可能。


③ 呼吸停止下/自由呼吸下におけるビームのOn/Offをコントロール可能。

高線量率密封小線源照射については、石川県内では唯一の実施機関です。泌尿器科と連携して前立腺癌に対する小線源治療(高線量率・低線量率ともに)を多数施行しており、豊富な経験を有しています。また、子宮頸癌に対する小線源治療においてもCT画像を用いた高精度な治療(画像誘導小線源治療・IGBT)を行っています。


また、一部の疾患において粒子線治療の保険適応が拡充されたことをうけ、当科外来に専門外来として粒子線相談外来を設けました。現在、粒子線治療は当院を含め石川県内で受けることはできませんが、先進医療として行われる限局性固形腫瘍(肝臓癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部非扁平上皮癌、など)に対する治療も含め、その治療適応など専門的な判断を要する場合の相談窓口となっています。


※横にスクロールできます

外部照射装置Linac(第1治療室): VersaHD (Elekta社):1台
光学式体表面スキャニング装置: Catalyst HD(Elekta社):1台
リニアック搭載型イメージングシステム: iView GT & XVI(Elekta社):1台


※横にスクロールできます

外部照射装置Linac(第2治療室): Infinity Agility (Elekta社):1台
光学式体表面スキャニング装置: Catalyst HD(Elekta社):1台
リニアック搭載型イメージングシステム: iView GT & XVI(Elekta社):1台
ルームベース型イメージングシステム: ExacTrac (BRAINLAB社):1台
当院の治療装置

※横にスクロールできます

治療計画用CT装置: Aquilion LB (Canon Medical社):1台
光学式体表面スキャニング装置(治療計画CT室): Sentinel 4D CT(Elekta社)1台
外部照射治療計画装置: Monaco(Elekta) 5台
RayStation(RaySearch) 2台
Pinnacle3(PHILIPS) 1台
当院の治療装置

※横にスクロールできます

内部照射装置(高線量率小線源治療): MicroSelectron(Nucletron社):1台
内部照射計画装置(高線量率): Oncentra Brachy(Nucletron社):1台
内部照射計画装置(低線量率): VariSeed (Varian社):1台
当院の治療装置

kanazawa universty hospital

金沢大学附属病院 放射線部

〒920-8641 石川県金沢市宝町13-1

Tel:076-265-2000 内線2010

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