部門紹介~X線CT検査~
造影剤って?
先ほどの説明で「X線は骨を突き抜けにくい」というお話をしました。もう少し専門的な言葉で表現すると、「骨のX線透過性は低い」と言えます。少し難しいお話になりますが、からだは様々な組織から成り立っていますので、それぞれの組織のX線透過性もまた異なります。
CT画像ではこの「X線透過性の違い」を「白黒の濃淡差(コントラスト)」に置き換えて画像に表現しています。つまり、骨は「X線透過性が低い」ので画像では「白」で表現されますし、逆に空気は「X線透過性が高い(X線が突き抜けやすい)」ので「黒」で表現されます。そして、臓器はその中間の色合い(グレー)で表現されるのですが、各臓器のX線透過性はほんの少しの違いしかありませんので、ほぼ同じ色合いで表現されてしまいます。これでは隣り合う臓器や血管を区別できないばかりか、病気も見えにくくなってしまいます。そこで「造影剤」の力を借りることになります。
造影剤は骨と同じく「X線透過性が低い」ので血管内に注射されると、血液と混ざりながら全身を巡り各臓器に行き渡って「X線透過性の違い」つまり「白黒の濃淡差」を人工的に作り出します。そして血液が豊富な組織ほどたくさんの造影剤が流れ込むので「X線透過性が低く」なり「白」で表現されます。
造影剤によって隣り合う臓器や血管も識別しやすくなりますし、血液を栄養源として成長するタイプの「がん」も見つけやすくなります。ただし、造影剤は一般的なお薬と同じく少なからず副作用を伴います。副作用には“かゆみ”や“吐き気”といった軽度のものから、“呼吸困難”や“血圧低下”といった重度のものまで様々です。重度の副作用の発生頻度は非常に低いですが、ゼロではありません。
万が一の事態に備えて、検査室では万全の準備態勢を整えておりますが、副作用の発生する確率をなるべく低くするためにいくつか守って頂きたいことがございます。 “検査を受ける方へのお願い”の“造影剤を使用される場合”を必ずお読みください。